インフルエンザ治療薬(タミフル)


今回から、インフルエンザの治療薬について書いていきます。

 

まずは、タミフルについて取り上げます。

 

タミフルは一般名がオセルタミビルで、ノイラミニダーゼ阻害薬に分類されます。

 

インフルエンザウイルスは細胞内で増殖した後、他の細胞に感染する際にノイラミニダーゼ(NA)という

 

酵素を使用します。

 

NAは細胞膜表面でウイルスを宿主細胞から放出させるのに必要な役割を担っています。

 

NAを阻害することでインフルエンザウイルスは細胞内に閉じ込められ、他の細胞に感染できなくなります。

 

これがNA阻害薬の作用機序ということになります。

 

ウイルスを直接殺すわけではないため、発症後から48時間以上たってからでは

 

ウイルスが増殖しきっており、タミフルを治療薬として投与する意味はほとんどないとされます。

 

しかし、ウイルスのほかの細胞への感染を防ぐという作用機序から、

 

他人にインフルエンザが移るのを防ぐ効果が期待できます。

 

適応はA型インフルエンザ、B型インフルエンザの治療、予防です。

 

用法用量は

 

1. 治療に用いる場合

通常、成人及び体重37.5kg以上の小児にはオセルタミビルとして1回75mgを1日2回、5日間経口投与する。

 

2. 予防に用いる場合

(1) 成人

通常、オセルタミビルとして1回75mgを1日1回、7~10日間経口投与する。

 

(2) 体重37.5kg以上の小児

通常、オセルタミビルとして1回75mgを1日1回、10日間経口投与する。  と記載されています。

 

タミフルについては、未成年の異常行動の報道もあったことから、添付文書には下記のように記載されています。

 

10歳以上の未成年については、因果関係は不明であるものの、本剤の服用後に異常行動を発現し、転落等の事故に至った例が報告されている。

 

このため、この年代の患者には、合併症、既往歴等からハイリスク患者と判断される場合を除いては、原則として本剤の使用を差し控えること。

 

また、小児・未成年者については、万が一の事故を防止するための予防的な対応として、本剤による治療が開始された後は、

 

(1)異常行動の発現のおそれがあること、

 

(2)自宅において療養を行う場合、

 

少なくとも2日間、保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう配慮することについて患者・家族に対し説明を行うこと。

 

なお、インフルエンザ脳症等によっても、同様の症状が現れるとの報告があるので、上記と同様の説明を行うこと。

 

2009年に新型インフルエンザの流行した際にはタミフルが効果を期待されて使用され、

 

多く使用された国(日本)では死亡者が少なかったとされています。