結核 tuberculosis



http://www.jacr.or.jp/topics/08tuberculosis/03.html


肺結核

 「結核」というと,かつては亡国病と恐れられていましたが,RFP(リファンピシン)やINH(イソニアジド)といった有効なクスリが開発され,順調に患者数が減少してきていました.ところが,最近になって新規発生患者数が再び増加傾向となり,昨年厚生省が「結核非常事態宣言」を出したことは記憶に新しいところです.

現在の結核の「再燃」には,2つの意味あいがあると思います.

 

一つは,かつて結核にかかったヒトが再び発病する,内因性の結核です.結核菌が薬物療法によっても完全には死ななずに休眠状態で落ちついた状態が長く続き,患者の抵抗力が落ちたときに発病してくるケースです.「昔ロクマクにかかったことがある」というヒトは,今後抵抗力が弱ったときに結核を発病する可能性が0ではないと考えられます.

 

もう一つは,若いヒトに新たに感染する場合です.昔と違い,純粋培養のような環境で育ってきた若い世代は,結核菌に対する免疫がないことも多く.この世代の感染が増加しつつあります.

 

結核の症状について

「口から血を吐く(かっ血)」といった症状はまれです.

体がだるい,微熱が続く,咳がずっと止まらない,といった風邪と同じ様な症状のみのことがほとんどです.

 

早期受診の重要性について

どの病気でもそうですが,早く診断されれば早く治すことができます.

また,結核の場合,診断が遅れればそれだけ周囲のヒトに感染の危険が続くことになります.周囲で結核と判明したヒトがいれば,できるだけ早く医療機関を受診して下さい.(半年ほどたってから発病することもあります)

咳や微熱が2週間以上続く時は,風邪だと思っても一応医療機関で胸部X線,痰の検査をした方がよいです.

 

治療継続の重要性について

結核のクスリが効かない,即ち耐性の場合があります.初回の治療の場合,耐性を防ぐために2ー4剤のクスリを一緒に飲んでもらうことが常ですが,ついつい症状が軽快してくると飲み忘れることがあります.クスリをきちんと服用しないと耐性になりやすいといわれています.一旦耐性になると除菌率が悪くなります.結核のクスリは風邪のクスリとは違います.症状が良くなったからといって自分の判断でクスリを中止するのは厳禁です.

 

結核は,排菌が多いと一般病棟での入院もできず,隔離が必要など特殊な病気ですが,クスリをきちんと飲めばほとんど治る病気です.咳や微熱が2週間以上続く時は,一度は医療機関を受診し,結核の否定をしてもらうことが大事です.